ブロックアフガンで、オリジナルレシピのベレー帽を編みます。
今回は、完成版のレシピを作るために編んだ試作品についてお話しします。
編み図もレシピもないモノを作りだすということ
既存の編み図やレシピがない作品を作るには、「試作品作り」と「計算」が重要になってきます。
ニットは伸縮性のある素材です。編地そのものが伸びることもありますし、着用しているうちに重力によって伸びてくることもあります。
そのあたりも考慮しながら、目標とする完成サイズを決めていきます。
そして、計算をもとに試作品を作るわけですが……まぁ、一発でうまくいくとは限りません。
今回は、そんな試行錯誤の記録です。
仕上がりサイズを決める
まずは理想のサイズを決めるために、巻き尺を使って自分の頭を採寸します。
実寸は、次のとおりです
頭囲:58cm
頭囲から頭頂部までの長さ:23cm
ここから、目標とする仕上がりサイズを考えます。
頭囲:56cm
頭囲から頭頂部までの長さ:27.5cm
いつもニット帽を作るときは、頭囲の実寸から2〜3cmほど差し引いた寸法を目安にしています。
今回も、それにならって頭囲56cmを目標にしました。
……今思えば、この見積もりが甘かったのですが。
編み技法はブロックアフガン
今回はアフガン編みでやります。
その中でも、ブロックアフガンという技法を使います。
毛糸は野呂糸シルクガーデン。
素晴らしい段染めを生かしたかったので、この技法を選びました。
今回は、トップから6枚のピースをつなぐ構成にします。
計算の結果、1ピースの大きさは「9cm」としました。
以上の条件で、試作品を完いったん完成させました。
試作品がこちら

一見、うまく編めているように見えます。
実際にかぶってみると
まーーー 大きいこと(涙)
しかも、途中で一度大失敗して、すべてほどいて編み直しています。
そのうえ、のべ7日間かけて完成させたものがこれです。
着用感がいまひとつだと、なかなか悲しいものがあります。
でも、まぁ、よくあることです。
今回の試作品では、特に次の3点が気になりました。
- 頭回りが大きすぎる。
- 帽子の高さもありすぎる。
- ゴム編みで縮めても、かぶったときのゆるさが解消されない。
9cmを基準寸法としたピースを6枚つないだところ、ゴム編み前の円周は約76cmになりました。
これを目標の頭囲56cmに合わせるようにゴム編みしたのですが、それでもゆるい。
頭回りも、頭回りのゆとりも、何もかもが大きめです。
さて、どうしたものか。
この試作品をもとに、完成版の寸法を再計算していきます
試作品を補正し、完成版のサイズを割り出す
特に頭囲のゆるみがひどいので、理想のサイズ感で手でつまんでみました。
ざっと8~10cmくらい詰めてもよさそうなことが分かりました。
帽子の高さもちょっとありすぎかなぁ、5cmくらい詰めてもいいよね、そんなイメージです。
これぞ、実物があるからこそできるリアルサイズ捕正です。
計算だけでは判断しきれない部分も、実際に編んでかぶってみれば、具体的に検討できます。
では、どのように寸法を変更すればよいのでしょうか。
ブロックアフガンのピースのサイズを調整する
頭回りも高さもゆるいということは、ブロックアフガンのピースの基準寸法が大きすぎるのかもしれません。
そこで、ピースの寸法を小さくした場合、円周がどのくらい変わるのか計算してみます。
頭囲は、正方形パーツを ◇ の形で6つ並んだ長さです。
◇を上下で二等分すると、角が直角で、二辺の長さが各8cmの二等辺三角形になります。
ここで、直角をはさむ二辺の長さを8cmとすると、三角形の斜辺の長さは、三平方の定理から求められます。
直角二等辺三角形では、斜辺の長さは一辺の長さの√2倍です。
したがって、
8 × √2 ≒ 11.3cm
となります。
この長さが6つ並ぶと考えると、円周は、
11.3 × 6 ≒ 67.9cm
です。
つまり、ピースの基準寸法を9cmから8cmに変更すると、ゴム編み前の円周は約76.4cmから約67.9cmになります。
先ほど、ゆるい箇所を手でつまんで「10cm詰めてもいいね」ということでしたので、ちょうど良いカンジかと思います。
ただし、これはあくまでも計算上の寸法です。
実際の着用感は、編地の伸縮性やゴム編みの仕上がりにも左右されます。
それでも、試作品をもとに次の寸法を検討するための、ひとつの目安にはなりそうです。
ちなみに、7.5cmのピースで計算すると⋯⋯
念のため、ピースの基準寸法を7.5cmにした場合も計算してみます。
7.5 × √2 ≒ 10.6cm
これが6つ並ぶので、
10.6 × 6 ≒ 63.6cm
となります。
8cmの場合は約67.9cmでしたから、わずか5mm小さくするだけで、円周は約4.2cmも小さくなることがわかります。
アフガン編みは、手加減によってもサイズ感が変わります。
そのため、計算だけでなく、実際の編地の寸法も確認しながら、注意深く編む必要があります。
念のため、巻き尺で輪を作って頭に当ててみます。
うん、この時点では8cmのピースでよさそうです。
ついでに、高さも割り出しておく

ベレー帽の高さは、ブロックアフガンの◇ピース縦2つ分+ゴム編み2cm分となります。
試作品の、9cmを基準寸法とした場合、
先ほどと同様に計算すると、
9 × √2 ≒ 12.7cm
これが2つ分なので、
12.7 × 2 + 2 ≒ 27.4cm
となります。
8cmピースの場合は
10.6cm×2+2で23.2cm
になります。
冒頭で「高さが4〜5cm低くてもいいよね」といった話をしましたので、これなら目標に届きます。
※なお、ここで示した寸法は、あくまでも設計段階の計算値です。
ルート計算の実技は、後日改めて解説します
「え? 計算するのに、なぜ√(ルート)が出てきた?!」
と思われたかもしれません。
ええ、便利なんです。コレが。
今回は計算結果を中心に紹介しましたが、ルートを使って長さを求める方法は、後の回で改めて解説します。
電卓をご用意してお待ちください。
あとがき
今回は、試作品をもとに、ベレー帽のサイズを補正する方法を紹介しました。
事前に計算して「これならイケるだろう」と思って作った試作品ですが、実際にかぶってみると、直すべきところがてんこ盛り。
これは、作ってみないとわからなかった!
でも、試作品があるからこそ、どこをどう直せばよいのか、具体的に検討できます。
今回は、実物のサイズ感と計算結果をもとに、完成版の寸法を考えてみました。
皆さまには、ワタシが試行錯誤した結果だけでなく、そこに至るまでの考え方もお伝えしていきます。
では、今回はこんな感じで。
ベレー帽シリーズの総合案内所はこちらです

ではね!

